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普通の大学生が選んだ、起業家の道─Ryuya Ohmura

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学生時代。学校生活や人間関係といった目の前のことについ気を取られがちな日々。

 

そんなときふと将来について考えると、漠然とした不安を感じることがある。

筆者の場合、就職活動が近くなった時期にこの不安を感じた。不明瞭な採用基準、最後までわからない配属先、仕事のミスマッチ。

仕事を手段として生活していくと考えると、先行きがとても心配だった。

 

自分は将来どんな仕事について、どんな人生を送っていくことになるんだろうか。

 

生活できるだけの収入を得て、健康に生きていけるんだろうか。

 

自分の夢を実現することはできるだろうか。

 

そしてそのために、自分はなにかできているだろうか。するともっと何かできるのではないかと焦る。

しかし何をしてよいかわからずまた不安になる。

 

今回取り上げる大村 龍也さんは、こうした漠然とした感情をきっかけに行動を開始し、現在は経営者として活動している。

彼がこの2年間、どのような軌跡を描いてきたのかを取材した。

大村さんを取材することに決めたのには理由がある。それは、彼がもとはごく一般的な大学生であるということだ。

 

もともとごく普通の大学生。

大村さん:授業はサボったり寝たり…どうしようもないというか、超普通の大学生(笑)

朗らかな笑顔で話す大村さんは、いまでは経営者としてブログ、アドバイザー、トレーナー、コンサルタント、マネジメント、最近では自身初のサービス開発にも取り組んでいるなど大忙しで活躍している。

彼が今の仕事につくまでのお話を聞いた。

 

野球少年

 

小学校2年生から野球を続けているという大村さん。高校時代は野球部での活動に熱中し、大学はスポーツ推薦による入学も検討したそう。

しかし当時すでに肘を痛めており、これまでのペースで野球を続けることは不可能だった。

大村さん:そこまでは野球してれば人生なんとかなると思ってた人間だったから、やめるという選択をしたときどうすればいいかわからなくなった。俺って何者だっけみたいな(笑)

大学に入学するタイミングで、自分の将来について考える機会を得た大村さん。当時をこう振り返る。

大村さん:将来は単純に大手企業というより、実績が認められやすいところに就職したいと思っていた。例えば外資系とか。漠然と。

サッカーが好きで、そのつながりでドイツが好きだった。ドイツ語話せたらかっこよくない!?ということで、学習院のドイツ語学科を目指すことにした。

志望校を学習院に設定したのも、学習院の印象がかっこよかったことが理由だそう。今現在の大村さんの印象からすると予想外のエピソードだった。

 

好きなことを仕事にしたいという思い・突然のヒッチハイク

かっこいい!ということで目指した学習院は残念ながら不合格になってしまい、別の大学で経済や経営について学ぶことにした大村さん。

ところが、大学生活1年目にして、違和感に直面する。

大村さん:大学に入学した年の冬、漠然とした不安と焦りを感じて。俺はこのままで大丈夫なんだろうか、特にやりたくもないこと、やりたくもない仕事をずっとやって、自分の人生は楽しくなるだろうかって。

大学に入学したはいいものの、自分のやりたいことが見つからないままだった。好きなことを仕事にするために何かしなくてはと思うものの、どうしたらよいかはわからなかったという。

当時の大村さんは突飛とも思える行動に出た。

大村さん:そこで、なんとなくヒッチハイクしてみた。(笑)

──筆者:なんとなく。(笑)

大村さん:ヒッチハイクする=意識高い人みたいな認識があって。なぜヒッチハイクだったのかはわからないけど、とにかく何か行動しなければという思いだった。

一番遠くで、東京から名古屋までヒッチハイクで行き帰りしたという。

 

ヒッチハイクで得た行動力をきっかけに、気になった経営者にSNSでアポを取って相談することを思いつく。

すぐに行動を開始し、これが後に大きな変化をもたらすこととなった。

大村さん:いろいろな人に出会った。いい人もいたし、怪しい人もいた。すごいな、と思う人もいたんだけど、その環境で自分が働くことは想像できなかった。

これを繰り返すうちに、知識はついた。けど自身で何ができるかと考えると何も変わっていないことに気づいてしまってまた焦った。

こうした行動は、周囲から受けてきた否定やいじめといった経験の裏返しだと大村さんは振り返る。自分は周囲の人間とは違う行動力を持っていると胸を張り、ただひたすらに動き続けた。

 

出会いと気付き

そんなとき、大きな転機となる出会いが訪れる。ここでは仮にTさんとの出会いとする。

きっかけは、SNSでメッセージが届いたことだった。Tさんはスポーツの事業を取り扱うコンサルタントで、今でも一緒に仕事をすることがあるという。

大村さん:それまで会ってきた人たちは、好きなことを仕事にしたいと相談すると、「自分でアポ取って来るなんて、すごいね、頑張ってね」と言ってくれてた。Tさんにも、同じことを相談した。

Tさんも褒めてくれはしたんだけど、「好きなことを仕事にするためになにかしていることはある?」と聞かれた。「いつ起業するの?」って。

 

Tさんに会うまでにもたくさんの人に出会ってきた大村さんだったが、彼自身誰かと会うだけではどうにもならないと気づいていた。

できることを増やすためにはどうしたらいいのか。自分には何ができるのか。焦りを覚えつついろいろな人に話を聞いてきた大村さんに、Tさんの言葉が深く刺さった。

 

「今のままだとやりたくもないサラリーマンやって死んでいくんだろうな」と言われた。腹がたった。けど、考えてみれば今じゃない、今じゃないとできることを先延ばしにしていたことに気づいた。

Tさんは褒めるだけではなく、この時点で大村さんができることがあると気付かせてくれた。この出来事をきっかけに、大村さんはTさんに半ば師事する形で行動を開始する。

大村さん:「なにか龍也くん自身でできることをやってみるなら、手伝うよ」と言ってくれたので、ぜひということでブログを教えてもらった。これが、今の事業に至る最初の出来事。

──筆者:ブロガーとしての活動を開始したんですね。ブログには何を書いていたんですか?

大村さん:最初は野球について書いてた。特にバッティング。守備はいろんなポジションがあるけど、攻撃ではみんなバッティングするから、マーケットがより大きいということで。でも、そのうち野球を教えることに対しては情熱がないことに気づいた。自分でプレイするのは好きなんだけど。(笑)

と言いつつも、自身のブログは順調に収益化し、大学を休学、ビジネスに本腰を入れるようになっていった。

書き始めてから教えることについては情熱がないと気づいた野球というテーマ。考えた結果、より情熱を注いで発信できる内容に切り替えることにしたそう。大村さんが過去に外見に関するコンプレックスを持っていたことから、特にこうした問題には敏感であろう女性にフォーカスして、ダイエットの情報発信やトレーナーといった活動をはじめた。

大村さん:自身の外見に対するコンプレックスを解消できた経験から、同じアプローチから自信を持ってもらうことで、誰かの人生が豊かになったらいいなと思っていた。

 

挑戦、立ち返り、そして挑戦

写真:大村さん提供・修学旅行で中学生をエスコートした

ブロガーとして活躍するうち、別のビジネスから声がかかった。

都内にやってくる中学生の修学旅行を大学生がエスコートするサービスで、大村さんはダイエットに関する発信をブログで行いつつ、並行してこの業務にも携わることにした。

ただお寺を見て回ったり、買い物をして終わってしまうよりは、より深い知見や価値観をすこしでも吸収してもらえたらということで始まったという修学旅行のエスコートサービス。

自分と近い年齢ながら、まだまだ若い彼らと過ごす時間は、非常に楽しかったという。

複数のビジネスに並行して携わってみることで、気づいたことがあったという大村さん。

大村さん:ある時点で天井が見えてきた。この中で自分のやりたいようにやるには限界があると悟った。

第一、尊敬している人がいるというのに、なぜ離れて仕事をしているんだろうと思い、2018年の7月からはTさんに弟子入りするような形で起業コンサルタントの仕事もするようになった。

この時点で、3つの事業に並行して関わっていた大村さんだが、彼はさらなる挑戦への第一歩を踏み出してゆく。

大村さん:誰かと仕事をする上で、自分が目指しているもの、考えたことについて、上書きで指示をうけることにストレスを感じた。これは本当に自分がやりたいことなんだろうかと。

自分のスキル、能力をもっと伸ばしていく必要があると感じて、自分1本で事業を立ち上げた。

現在は、大村さん一人で立ち上げたこの事業一本に注力している。人間関係や恋愛に関するコンテンツを持ちながら、人を雇ってセールスコピーを書くなど、マーケティングの分野で自分の仕事をしているとのことだ。

大村さん:今、もうすでにお客さんとのやり取りが進んでいる。今後はプラットフォームを作って、本格始動させていく。ゆくゆくはデートコンシェルジュや、コーディネートの提供サービスに派生させられたらと思っている。

ブログから入ったということも考えて、そこから派生させてできることを充実させる。個々の力がないとチームでやる意味は無いと考えているので、自分自身の力をアップすることに今年は取り組みたい。

 

 

「面白い」道をゆく

大村さんの仕事に対するモチベーションを聞こうと思い質問したところ、こんな答えをいただいた。

 

写真:大村さん提供

──筆者:仕事をしている中で楽しい瞬間、成長したなと思えるエピソードがあれば教えてください。

大村さん:楽しいというよりは、面白いという概念のほうがしっくり来る。自分は楽しいというと、趣味や遊びの一時的な感情という認識。

仕事は基本的に地道な作業の積み重ねで大変だけど、ゴールを達成するには必要な作業がある。終わったときに、今までやってきてよかったと、プロセスを含めて面白いと言う認識。わかりやすく言えば、宮崎駿さんなんかもそうだと思う(笑)

将来的には家庭を持って、子供と奥さんを守っていけるだけの自分を作りたい。そのための手段はたくさんあるけど、どうせなら自分が面白いと思えることをやりながら叶えたい。

大村さんは、たとえ話が非常にうまい。

これは逸話だが、ジブリの宮崎駿さんは作品を作るプロセスに参って、「これで引退」と毎回言っているらしい。しかし、いざ作品ができあがってみるとその達成感はひとしおだ。

大村さんもまた、地道な努力を積み重ねてきた。またそうして積み上げてきたものを様々な形で価値として提供し、お客さんを笑顔にしてきた。

彼らはその過程をすべてひっくるめた面白さに魅せられて、仕事に取り組んでいるのだろう。

 

今できるベストの選択を。

これまで、目の前のチャンスに対して全力で取り組んできたという大村さん。やりたいことを徹底的に追求し、自分の能力と照らし合わせ、仕事にしてきた。

この原動力は、彼の行動一つ一つによって培われてきたものだ。

突然のヒッチハイクは、当時大村さんが持っていることに気づいていなかった行動のカードにスポットが当たるきっかけとなった。

ヒッチハイクを皮切りに、いろいろな人に会って相談し始めた結果、Tさんとの出会いで大きなレベルアップを果たした。

そして今自分自身の道を自分自身で切り開いて進むに至った大村さんに、就職や入学、進学といった、新たなステージを控えた人に向けたメッセージをうかがった。

 

大村さん:何か、やりたいことがあるという人は、そのためにやるべきことを逆算して、今自分ができるベストの選択をするべき。

自分は大学を休学して今の仕事をしているけど、大学を卒業して会社に就職することがベストの選択であったのなら、そうしていた。

今は、起業という選択肢がベストだったから取り組んでいる。就職や起業は、目的を達成するための手段でしかない。

 

大学1年生で将来への違和感を感じた時点で、行動に移した。

そしてその行動から培ったものから、ベストの選択肢をとり、全力で取り組んできた。

少しでも興味があること、やってみたいことがあるときに、やらないための理由を考えてはいないだろうか。

大村さんの言葉に、最初の一歩を踏み出す勇気をもらった。